労災疾病等医学研究普及サイト「病職歴調査を活用した研究」について(ご案内)

労働者健康安全機構では、労働災害の発生状況や行政のニーズを踏まえ、労災補償政策上重要なテーマや新たな政策課題について時宜に応じた研修に取り組んでおります。

今回は「病職歴調査を活用した研究について」です。

病職歴データベースの大規模データを用いて職業と脳心血管疾患リスクとの関係について解析した結果が「Scientific Reports」にて報告されました。

仕事と疾患リスクとの関連はこれまでにも複数の研究結果が報告されていますが、職業の大分類や職業的な地位との関連を解析した研究が多く、実際の疾患予防対策への応用がむずかしいところです。

それに対して今回の研究では、職業の詳細分類をターゲットとして疾患リスクとの関連を男女別に検討し、職業特異的な未知の潜在的リスクの検出を試みました。その結果、81の職業中分類の中で脳心血管疾患リスクの高い職業群が確認できました。

特に男性では、飲食物調理従事者、自動車運転者、漁業従事者、土木作業従事者、運搬作業従事者などは脳血管疾患(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)のリスクが高いこと、脳血管疾患と心筋梗塞ではリスクの上昇もしくは低下に関連する職業の傾向が異なること、などが明らかになりました。

脳心血管疾患リスクが高い職業群について産業保健の観点から更なる発症リスクの要因を検討することにより、今後これらの研究結果は予防プログラムを実施する上で重要な情報になると考えられます。

下記、研究論文がご覧になれます。

論文タイトル:『A case control study of occupation and cardiovascular disease risk in Japanese men and woman』(病職歴調査研究班 深井 航太先生)

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